薬機法の広告規制違反事例を紹介! 違反してしまった時の対処法も解説

薬機法の広告規制違反事例を紹介! 違反してしまった時の対処法も解説

健康食品や化粧品の広告に「飲むだけで病気が治る!」「肌が若返る!」といった表現が含まれていれば、薬機法(旧:薬事法)に違反するおそれがあります。

違反すると、刑事罰や行政処分を受けるリスクがあります。「知らなかった」では済まされないので、細心の注意が必要です。

本コラムでは、実際の薬機法の広告規制違反事例やペナルティ、そして万が一違反に気づいた時の対処法について解説します。

1. よくある広告の薬機法違反事例

広告の表現禁止については、厚生労働省の「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」にて、細かくルールが定められています。

ここでは、同ガイドラインをもとに、とくに間違えやすい4つのケースごとに、禁止表現や具体例をそれぞれ見ていきましょう。

(1)医薬品の効果効能を断定的に記載したケース

医薬品は、病気の治療や予防を目的とした薬です。

厚生労働省より承認された範囲内であれば、効果効能を記載できます。ただし、「絶対に治る」といった、効能効果を確実に保証する表現は禁止されています。

NGワード例 OKワード例
「100%治ります」
「絶対に効きます」
「完全に治癒します」
「胃の痛みを和らげます」
「頭痛を抑えます」

(2)健康食品に治療効果があるとうたったケース

健康食品(サプリメントなど)に関する明確な定義はありませんが、健康の維持・増進を目的として販売される食品全般を指します。

健康食品は、あくまでも「食品」で、医薬品のような効果は認められていません。そのため、体の変化や病気の治療を連想させる表現は禁止されています。

NGワード例 OKワード例
「飲むだけで糖尿病が治る」
「ガンを予防する」
「血圧を下げる」
「健康維持のため」
「毎日の元気のため」

(3)化粧品に医薬品的効能があるとうたったケース

化粧品は、「人の身体を清潔にする」、「美化して魅力を増す」などの目的で使用される製品です。

物理的なメイクアップ効果などは記載できます。しかし、医薬品ではないので、治療や疾病の予防・改善をうたう表現は禁止されています。

NGワード例 OKワード例
「シミ・肌荒れが消える」
「肌が若返る」
「育毛効果がある(※育毛剤などの医薬部外品を除く)」
「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」
「肌にはりを与える」

(4)個人の口コミや体験談を掲載したケース

ホームページなどに、個人の口コミや体験談を掲載するケースもあるでしょう。

この際、口コミに医薬品的な効果効能(「治った」「痩せた」など)が含まれていれば、事業者が意図的に行った違反広告とみなされます。「※個人の感想です」といった注釈を入れても免罪符にはならないので、注意が必要です。

NGワード例 OKワード例
「この商品を愛用すれば、確実にアトピーが治ります!」
「飲むだけで、実際に病気が治りました!」
「使い心地が良いです」
「香りが気に入っています」

2. 実際にあった広告の薬機法違反事例

ここでは、薬機法違反で警察に逮捕・書類送検された事例を3つ紹介します。

(1)「肝臓疾患の予防」をうたった事例

2020年に、健康食品販売会社と広告代理店の社長ら計6人が逮捕された事件です。

本件では、健康食品販売会社が販売したサプリメントに関する広告内の「肝臓疾患の予防などに効能効果がある」という表現などが、薬機法に違反する疑いがあるとされました。

(2)「新型コロナウイルスに有効」をうたった事例

2020年の新型コロナウイルスの流行中に、健康食品販売会社の役員らが書類送検された事例です。

同会社は、販売するサプリメントの広告内に「新型コロナウイルス対策」「ウイルスの増殖を抑制する」などと表示しました。同会社の社長は、「成分に関する学術論文をもとに広告を作ったつもりだったが、間違いだった」と容疑を認めました。

(3)「糖尿病が治る」とうたった事例

2025年、医療機器製造会社の社長らが逮捕された事例です。

同社は、スーパーマーケットで開催した家庭用電気治療器の無料体験会で、「糖尿病が治る」「血液の循環を良くする」などと書かれたポスターを掲示して勧誘していました。しかし、これらの効能は、実際には認められていませんでした。

3. 薬機法の広告違反事例に対するペナルティ

薬機法に違反すると、会社や個人に対してさまざまなペナルティが科されます。

(1)刑事罰

悪質な虚偽・誇大広告は犯罪とみなされ、警察による捜査や逮捕の対象となります。

法定刑は「2年以下の拘禁刑」または「200万円以下の罰金」(あるいはその両方)です(薬機法85条4号・66条1項)。従業員が違反した場合には、法人に対しても「200万円以下の罰金」が科される可能性があります(薬機法90条2号・85条)。

(2)課徴金納付命令

違反していた期間における対象商品の売上の4.5%を、国に納めなければなりません。たとえば、違反した広告で1億円を売り上げた場合、450万円が徴収されます。

これは「違反行為によって得た不当な利益を没収する」という目的で設けられた制度です。

(3)行政処分

厚生労働大臣や都道府県知事から、広告の中止や再発防止策の実施などを命じられます。

これは、役所からの「お願い(指導・助言)」にとどまる行政指導とは異なり、法的な強制力を持ちます。そのため、命令に従わない場合は刑事罰の対象となります。

(4)企業イメージの悪化と社会的信用喪失

行政処分を受けると、違反した事業者名や違反内容が報道される可能性があります。その結果、「法律を守らない会社」というレッテルを貼られ、社会的信用が失われるかもしれません。

近年では、コンプライアンス違反の事実はSNSなどを通じて瞬時に拡散されます。デジタルタトゥーとして残り続けるリスクがあることも忘れてはいけません。

4. 薬機法に違反する広告を出してしまったときの対処法

自社の広告が違反しているかもしれないと気づいたら、ここで紹介する対処法2つを実践してみてください。

(1)気づいたらすぐ削除する

まずは、問題の広告をすぐに削除しましょう。

「少しなら問題ないだろう」と思って放置するのは危険です。ウェブサイト、SNSの投稿、動画、チラシなど、すべての媒体を確認してください。

(2)不安なときは弁護士に相談する

自分たちだけで判断するのが難しい場合や、すでに行政から指摘を受けてしまった場合は、速やかに弁護士へ相談してください。

薬機法に注力する弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得られます。

  • 違反かどうかの正確な判断

    該当する広告の表現・表示が違法かどうか、どの程度のリスクがあるか判断できます。

  • 行政や警察への対応

    もし外部機関からの調査が入った場合、どのように対応すべきかアドバイスをもらえます。

  • 再発防止の体制づくり

    今後違反しないための広告チェック体制を作るためのサポートを受けられます。

相談のタイミングが早ければ早いほど、リスク回避につながります。刑事罰や行政処分の対象になった場合はもちろん、「この表現は大丈夫かな?」と不安に思った段階で、早めに相談しましょう。

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

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  • こちらに掲載されている情報は、2026年02月26日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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