薬機法について弁護士に相談するメリット|弁護士の選び方も紹介
医薬品や医薬部外品、化粧品などを取り扱う企業や、その広告を出稿する企業の担当者は、薬機法を正しく理解しておかなければ、行政処分や刑事罰を受けてしまうおそれがあります。
しかし、薬機法は非常に複雑な法律なので、理解に苦しむことも多いでしょう。そんなときは、弁護士のサポートを受けることが有効です。
本コラムでは、企業の経営者や担当者が薬機法について弁護士に相談するメリットや、相談する弁護士の選び方について、わかりやすく解説します。
1.薬機法とは
薬機法(正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)では、国民の生命と健康を守るために、以下のように一定の行為に対する規制や、違反行為に対する罰則が定められています。
(1)薬機法の規制対象
薬機法の主な規制対象は次の5つです(定義については、わかりやすいように簡略化しています)。
| 規制対象 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| 医薬品 | 病気の診断、治療、予防に使用されるもので、機械器具等でないもの | 処方薬、市販薬の一部、体外診断用医薬品(血液学的検査薬など) |
| 医薬部外品 | 病気の診断、治療、予防以外で特定の目的のために使用されるもので、人体に対する作用が緩やかなもの | 制汗剤、うがい薬、薬用歯みがき粉、育毛剤、栄養ドリンク、殺虫剤など |
| 化粧品 | 人の身体を清潔にするためや、美容の目的で使用されるもので、人体に対する作用が緩やかなもの | 一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品、歯みがき粉、香水など |
| 医療機器 | 病気の診断、治療、予防に使用される機械器具等 | ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置、メスなど |
| 再生医療等製品 | 病気の治療や予防、身体の構造・機能の再建、修復、形成のために使用されるもので、細胞や組織に培養などの加工を施したもの | 細胞加工製品(心筋の細胞シートなど)、遺伝子治療用製品(欠損した遺伝子を人の体内に投与するもの) |
これらの規制対象品のことを、以下では「医薬品等」と称します。
医薬品等を製造・販売したり、広告を出したりする際には、薬機法で定められたルールを守らなければなりません。
(2)薬機法に違反した場合の罰則
以下の違反行為をした場合は、それぞれ所定の刑事罰を受ける可能性があります。
| 違反行為 | 刑罰 |
|---|---|
| 無許可での製造・販売 | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方 (84条2号、12条1項) |
| 虚偽・誇大広告 | 2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方 (85条4号、66条1項) |
| 堕胎の暗示やわいせつ表現を用いた広告 | 2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方 (85条4号、66条3項) |
| 未承認の医薬品等に関する広告 | 2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方 (85条5号、68条) |
| 特定疾病用の医薬品等に関する広告 | 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方 (86条17号、67条1項) |
虚偽・誇大広告をした場合には、上記の刑事罰に加えて、原則として違反行為による売上額の4.5%を課徴金として国に納めなければなりません(75条の5の2)。
その他にも、違反行為の内容に応じて次のような行政処分を受けることもあります。
- 業務改善命令、業務停止命令(72条1項)
- 販売した医薬品等の廃棄、回収命令(70条1項)
- 取り扱う医薬品等の検査命令(71条)
- 違法な広告の中止命令(72条の5第1項)
- 製造販売業の許可取り消し(75条1項)
- 製造業、保管業の登録取り消し(75条の2第1項)
2.薬機法について弁護士に相談するメリット
薬機法の概要について、ごく簡潔に紹介しましたが、実際の業務においてどのようなことに注意すればよいのかが分からないことも多いでしょう。そんなときは、弁護士への相談が有効です。薬機法に詳しい弁護士に相談することで、以下のメリットが得られます。
(1)複雑な規制内容を正しく理解できる
薬機法による規制は罰則を伴う厳しいものであるにもかかわらず、その内容は非常に複雑です。規制内容が多岐にわたっているうえに専門性が高く、抽象的な表現も多いため、条文を読んでも容易に理解できるものではありません。特に広告規制は解釈が難しいため、一般的な企業担当者が正しく理解することは困難といえます。
しかし、法律の専門家である弁護士に相談すれば、専門的で複雑な法律の内容について、分かりやすい説明を受けることができます。「何が違法で、何が合法なのかが分からない」といった悩みから解放されることでしょう。
(2)薬機法違反の未然防止につながる
薬機法に関する理解が不十分なまま業務を進めると、知らないうちに違反行為をしてしまう可能性が高く、行政処分や消費者とのトラブルなどを招くおそれがあります。トラブル発生後に対応するよりも、違反行為を未然に防止することが重要です。
商品の開発段階や広告の出稿前など、早期に弁護士へ相談することで薬機法違反の未然防止につながり、業務を円滑に進めやすくなることでしょう。
(3)企業の社会的信頼の向上が期待できる
企業が薬機法違反で行政処分を受け、その事実が報道されたケースは数多く存在します。悪意がなかったとしても、違法な行為で収益を上げていたことが社会に知れ渡ると、企業イメージを大きく損なってしまうでしょう。
その点、薬機法を遵守して事業を運営することで企業イメージを保つことができますし、健全な企業としてのブランド向上も期待できます。
3.薬機法に関する弁護士の役割
ここでは、薬機法に関して弁護士に相談した場合に、具体的にどのようなことをしてもらえるのかを紹介します。
(1)広告表現のリーガルチェック
広告を出稿する前に、弁護士によるリーガルチェックを受けることができます。リーガルチェックとは、その広告の内容が法令に違反していないか、自社に不利なトラブルにつながるおそれがないかなどを、法的な観点から確認することです。
事前にリーガルチェックを受けることで、薬機法違反のリスクを大幅に軽減することにつながります。
広告だけでなく、LP(ランディングページ)やパンフレット、ECサイトへの出品、動画、SNSでの投稿など、あらゆる媒体での表現について、リーガルチェックを受けることができます。
(2)代理人として法的トラブルの解決を図る
万が一、薬機法違反でトラブルが発生した場合には、弁護士に解決を依頼することができます。依頼を受けた弁護士は企業の代理人となり、トラブルの法的な解決を図ります。
具体的には、顧客や取引先との交渉や、クレームへの対応は弁護士に任せることが可能です。訴訟に発展した場合も、全面的なサポートを受けられます。
刑事罰に該当する違反行為で罪に問われた場合も、弁護士の対応によって不起訴処分の獲得や刑の減軽を期待できることがあります。
(3)行政指導への対応
監督官庁から薬機法違反の指摘を受けたときも、弁護士のサポートを受けることができます。
弁護士は、まず違反行為の内容を特定し、違反広告の削除や製品の廃棄や回収、関係者への説明など適切な是正措置について、監督官庁からの指導を受ける前にアドバイスしてくれます。
また、違反の原因究明や、社内でのチェック体制の構築、顧問契約による継続的なリーガルチェックなど、再発防止措置についてのアドバイスもしてくれます。
そのうえで、聴聞(※)に向けた資料の準備や受け答えについてのアドバイスも受けられますし、聴聞に同席してサポートしてもらうことも可能です。
※行政機関が不利益処分(許認可の取消し、業務停止等)を行うか否かを決める前提として、対象者に意見を述べ証拠を提出するなどの機会を与える手続き
このように、弁護士のサポートを受けて迅速かつ適切な対応をすることで、行政処分を回避できる可能性もあります。
4.薬機法について相談する弁護士の選び方
薬機法について相談する際には、弁護士選びも重要な問題です。以下で、適切な弁護士の選び方について解説します。
(1)薬機法に精通していること
まずは、薬機法に精通している弁護士を選ぶことが大前提となります。すべての弁護士が薬機法に関する事案を取り扱っているわけではありませんので、薬機法に関する知識や経験が浅い弁護士に相談した場合には、適切なアドバイスを受けられないおそれがあります。
医薬品や広告に関する業界での企業法務の経験が豊富な弁護士であれば、薬機法に精通している可能性が高いといえます。
(2)顧問弁護士の経験が豊富にあること
薬機法違反を回避して円滑に事業を進めていくためには、弁護士によるサポートを継続的に受けることも重要です。顧問弁護士の契約をしておけば、いつでも気軽に弁護士に相談できるようになりますし、必要なサポートを迅速に受けることも可能となります。
ただし、顧問弁護士としての経験値は、弁護士によって大きな違いがあります。薬機法について弁護士に相談するなら、最初から顧問契約も視野に入れて、顧問弁護士の実績が豊富な弁護士を選ぶとよいでしょう。
(3)説明が分かりやすく話しやすいこと
弁護士と継続的な関係を築くためには、自身と相性が良い弁護士を選ぶことも大切です。具体的には、相談時の説明が分かりやすく、何でも話しやすい弁護士であれば、相性が良い可能性が高いといえます。
薬機法は分かりにくい法律であるだけに、弁護士の説明が分かりやすいことと、質問や悩み、不安などをよく聞いてくれることは、非常に重要な要素となります。
弁護士の人となりを確認するには実際に相談する必要があるため、無料相談を活用するなどして、気軽に相談してみることをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2026年02月24日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。