訪問販売の被害に遭ったとき、警察に相談すべきケース

訪問販売の被害に遭ったとき、警察に相談すべきケース

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

消費者にとって「訪問販売」に関する困りごとは非常に身近な法律問題だといえます。法律の整備が進められてルールが明確化したものの、悪質な訪問販売が根絶されたとはいえません。

訪問販売トラブルは、基本的には個人である消費者と業者との間で起きた契約などの問題であるため、警察に相談しても解決できないケースが多数です。しかし、トラブルの内容によっては警察に相談することで解決が期待できる可能性もあります。

訪問販売トラブルに遭ってしまったとき、警察に相談すべきケースを紹介します。

1. 許されない訪問販売の方法とは?

消費者が商品やサービスを購入する際は、小売店などの店舗を訪ねるのが一般的な流れです。訪問販売は、消費者が冷静に判断できる時間が少なく、商品やサービスも高額になることが多いため「特定商取引法」という法律によってさまざまなルールが設けられています。

(1)訪問販売のルール

特定商取引法では、訪問販売について次のようなルールが定められています。

  • 勧誘を始める前に、企業名や氏名、勧誘の目的で訪問したこと、商品やサービスの種類を伝える
  • 一度断られたら同じ業者による再勧誘はできない
  • 日常で必要とされる量を超えた数量で販売してはいけない
  • 効能などでウソをついてはいけない
  • 月額料金や違約金の存在を隠すなど、消費者にとって不利な事実を隠してはいけない
  • 契約の締結、または契約の撤回の妨害を目的に、消費者を威迫・困惑させてはいけない
  • 業者の名称や所在地、商品やサービスの名称・個数・価格などを記した書面を交付しなければならない

(2)特定商取引法違反になる

特定商取引法は、消費者と業者との間でトラブルが起きやすいかたちの取引について、取引の公平性を図るとともに、消費者被害を防ぐという目的をもっています。大きな目的は「消費者の保護」であり、違反業者には消費者庁からの業務停止・業務禁止命令が下されることになるため、これらのトラブルが発生した場合は、まず警察ではなくお住まいの地域の消費生活センターなどに相談することになるでしょう。

ただし、代金を支払ったのに商品が送られてこない、高級品だと聞かされて大金を支払ったのに実は粗悪品だった、セールスマンに「契約しないと実家や職場におしかける」などと脅されたといったケースでは、刑法の詐欺罪や恐喝罪が成立する可能性があります。このような場合は、お住まいの地域を管轄する警察に直ちに相談するべきです。

また、特定商取引法に違反する行為には罰則も定められているため、執拗に違反行為が繰り返されるなどの場合も、刑事事件として取り扱うべき時はありえます。

2. 勝手に立ち入ってきたとき

インターホンで「いりません」と断ったのにセールスマンが無断で敷地や玄関先に立ち入った、オートロックのマンション内で1軒ずつ訪ねてセールスをしていたといったケースでは、刑法第130条の「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」にあたる可能性があります。

住居侵入罪・建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居もしくは看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入した者を罰する犯罪です。

訪問販売の目的で他人の敷地や建物に立ち入る行為は、それだけをみれば「正当な理由がある」と判断できる余地があります。たとえば、インターホンを鳴らすためには門扉を開けて玄関前まで立ち入らなくてはならないケースでは、直ちに不法な侵入となるとはいえないでしょう。

ただし、住人が「立ち入りを許可しない」という意思を伝えたにもかかわらず無断で敷地・建物などに立ち入れば、訪問販売が目的でも「正当な理由がある」とはいえません。

その場でトラブルになった場合や、玄関前でセールスマンが「◯◯さん、ドアを開けてください」としつこく居座っている場合は、すぐに110番通報して警察官の臨場を求めましょう。

3. 帰宅を促しても玄関前から帰らないとき

最初は「話だけでも聞いてみようか」と考えて立ち入りを許した場合は、あとで「迷惑だ」と感じても許可を得て立ち入っているので不法侵入にはなりません。ただし、刑法第130条には「要求を受けたにもかかわらず退去しなかった者」についても住居侵入罪・建造物侵入罪と同じく罰することが規定されています。これを「不退去罪」といいます。

悪質な訪問販売では「買わないからもう帰ってほしい」と告げても、構わず商品の説明を続けたり、契約してくれるまで帰らないと居座ったりするケースが少なくありません。退去してほしいと告げているにもかかわらずセールスマンがその場に居座り続けて迷惑に感じたら「不退去罪になるので警察に通報する」と告げて退去を求めましょう。

それでもさらに退去しなければ、直ちに110番通報をして警察官の臨場を求めるのが最善策です。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年03月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

消費者被害に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す
まずはご相談ください

お一人で悩まず、まずはご相談ください

消費者被害に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

消費者被害に強い弁護士

  • 森脇 慎也 弁護士

    グラディアトル法律事務所

    東京都 新宿区
    東京都新宿区新宿1-11-5 不二越ビル2階
    東京メトロ丸ノ内線『新宿御苑前』駅 2番出口より徒歩2分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • LINE相談可
    • メール相談可
    • 初回相談無料

    相談内容によっては弁護士法・弊所規定により有料または相談自体受けられない場合あり

     
    注力分野

    現在営業中 0:00〜23:59
    メールでお問い合わせ
  • 伊藤 翔太 弁護士

    グラディアトル法律事務所

    東京都 新宿区
    東京都新宿区新宿1-11-5 不二越ビル2階
    東京メトロ丸ノ内線『新宿御苑前』駅 2番出口より徒歩2分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • LINE相談可
    • メール相談可
    • 初回相談無料

    相談内容によっては弁護士法・弊所規定により有料または相談自体受けられない場合あり

     
    注力分野

    現在営業中 0:00〜23:59
    メールでお問い合わせ
  • 荒木 謙人 弁護士

    エイトフォース法律事務所

    東京都 渋谷区
    東京都渋谷区代々木1-25-5 BIZ SMART代々木3階
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • LINE相談可
    • メール相談可

    初回電話相談は無料です

     
    注力分野

  • 久保田 康介 弁護士

    ベリーベスト法律事務所

    東京都 港区
    東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階
    東京メトロ南北線[六本木一丁目]2番出口より徒歩3分
    東京メトロ日比谷線[神谷町駅]4a出口より徒歩8分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 24時間予約受付
    • 全国対応
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    ※初回相談無料は、ご相談の内容によって一部有料となる場合がございます。

     
    注力分野

    現在営業中 9:30〜21:00
    メールでお問い合わせ
  • 北川 雄士 弁護士

    大阪グラディアトル法律事務所

    大阪府 大阪市中央区
    大阪府大阪市中央区北久宝寺町4-2-12 本町御堂パークビル8階
    大阪メトロ御堂筋線『本町』駅 13番出口より徒歩3分
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • LINE相談可
    • メール相談可
    • 初回相談無料

    相談内容によっては弁護士法・弊所規定により有料または相談自体受けられない場合あり

     
    注力分野

    現在営業中 0:00〜23:59
    メールでお問い合わせ