「携帯電話を契約するだけのアルバイト」は詐欺!注意点や対応策とは

「携帯電話を契約するだけのアルバイト」は詐欺!注意点や対応策とは

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

近年では、インターネットの掲示板の「携帯を契約するだけで簡単に稼げる」といったアルバイト募集の書き込みなどを信じ、詐欺にあう事例が増えています。

このような詐欺は、「携帯契約詐欺」「携帯電話契約詐欺」などと呼ばれます。

携帯契約詐欺は、だまされて契約をした契約者が詐欺の被害者となるだけでなく、携帯電話会社に対する加害者にもなりうる点に注意しなければなりません。携帯電話詐欺の対応策について、紹介します。

1. 携帯契約詐欺とは

(1)携帯契約詐欺の概要

携帯契約詐欺とは、自分で使用しないのにスマートフォンなどの携帯電話契約をさせられて、その電話をだまし取られてしまう詐欺です。だまし取られた携帯は、特殊詐欺などの犯罪で電話番号やメールが使用されたり、さらに転売されたりする可能性があります。

また、契約者には、携帯電話本体は手元になくても、携帯電話会社から電話本体や通話料金などの請求がきます。これらの料金の支払いに対して「だまされたのだから支払わない」といって、拒否することをためらってしまう方は多いのです。

なぜなら、契約者が携帯電話を、携帯電話会社に無断で譲り渡した行為は「携帯電話会社の承諾なく電話を転売してはならない」と規定している「携帯電話不正利用防止法」への違反となるからです。

そして、「だまされたのだから支払わない」と伝えることで違反行為が発覚して携帯電話会社から加害者として責任を追及される可能性があるため、結局は携帯契約詐欺についての被害届を出せずに泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。

(2)携帯契約詐欺の手口

携帯契約詐欺の典型的な手口として、「携帯を数台契約して送ってもらえれば、すぐに高額のアルバイト代を支払う」、「携帯会社に本体料金や利用料金を支払う必要は一切なし」などの宣伝文句でアルバイトを募集する方法があります。

アルバイトだと思って契約後の携帯電話を業者に送付したら、業者とは連絡が取れなくなり、アルバイト料も支払われない。そのうえ、携帯電話会社からは、携帯本体や利用料の多額の請求書が送られる……という被害にあうのです。

また、貸金業者などから「融資をするためには審査が必要だが、携帯を契約できれば審査を通過したものとして融資できる」などと持ちかけられ、複数のスマートフォンを契約させられるという手口もあります。これは、消費者が持つ「融資してもらいたい」という強い思いや、経済的な苦境につけこむ手口です。しかし、だまされてしまうと融資を受けられるどころか、携帯電話会社からの多額の請求が残ることになってしまうのです。

(3)詐欺罪の刑罰

刑事上、携帯電話詐欺の加害者の行為は詐欺罪(刑法246条)に当たる行為であり、詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。また、民事においては、被害者は加害者に対して損害賠償請求を行うことが可能です。

しかしながら、携帯契約詐欺の加害者と被害者は、インターネットやメールなどでやり取りをすることが多く、被害者は加害者の顔や氏名を直接は知らないということも一般的です。そのため、加害者を特定することは難しく、損害賠償請求を行って被害金を回収することは非常に難しいと言えます。

2. 携帯契約詐欺の注意点や対応策は?

(1)注意点

携帯契約詐欺にあわないようにするためには、「使用するつもりのない携帯電話の契約はしないこと」が重要です。インターネットの掲示板や闇サイト、SNSにおける他人名義の携帯電話やSIMカードの売買をよびかける情報にも応じないようにしましょう。

また、通話できる携帯を譲渡するときには、携帯電話会社に連絡して手続きをする必要があることに注意しましょう。

携帯契約で分からないことがある場合には、そのままにしておかず、携帯電話会社に確認するようにしておくことが重要です。

(2)対応策

携帯契約詐欺では被害者であっても、携帯電話会社に対しては詐欺の加害者となる可能性があります。また、携帯契約詐欺で譲渡された携帯電話は詐欺などに使われることもありますが、そのような場合には、名義人である契約者が不利益を被る可能性があります。

既に携帯電話を契約して送ってしまったり、本体代や使用料の支払いに困っているという場合には、お早めに消費生活センターや弁護士などに相談することをおすすめします。

①消費生活センター

「(局番なし)188」に電話すると、お近くの消費生活センターを紹介してもらえます。センターによっては、多重債務に関する相談にも応じているので、請求された携帯本体や利用料が支払えないなどといった内容についても相談できる可能性があります。

②弁護士など

弁護士に相談する方法もあります。弁護士に相談すれば、詐欺の被害者として加害者の責任を追及したり、警察と連携をはかり、だまし取られた携帯が悪用されることを防いだりできる可能性があります。

また携帯料金などを支払えないなど債務を抱えている場合でも、弁護士は適切な債務整理の方法をアドバイスして手続きを進めることができます。

インターネットなどでご自身で弁護士や弁護士事務所を探して相談することもできますし、資力や財産が一定以下の場合には法テラスを利用できる場合もありますのでご検討ください。

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