クーリング・オフしたい! 書面の書き方や送付手段はどうすればよい?
「クーリングオフ」の制度があることは、ほとんどの方がご存じだと思います。ところが、いざクーリングオフが必要な場面になると、「クーリングオフのやり方が分からない」などといった理由から、諦めてしまう消費者も少なくないものです。
実は、クーリングオフは、最低限の記載事項や送付方法さえ押さえておけば、そう難しいものではありません。専門家などに相談しなくても、消費者だけで有効にクーリングオフすることが可能です。
早速、クーリングオフ制度の基礎知識と書面の書き方・送付手段をみていきましょう。
1. クーリングオフの基礎知識
まずクーリングオフ制度について、基礎知識を押さえておきましょう。
(1)クーリングオフとは
「クーリングオフ」とは、一定の取引をした消費者を保護するために、契約後も例外的に一定期間内は消費者からの契約解除を認める制度です。
たとえば訪問販売などでは、「その場の雰囲気で契約をしてしまったが、後で冷静になって考えてみたら必要のない契約だった」などというケースが少なくありません。
そういった場合に、消費者が契約を解除することができることで、消費者保護をはかっているのが「クーリングオフ」制度です。
(2)クーリングオフできる主な取引
クーリングオフは、特別に消費者を保護する必要がある取引に関してのみ認められる制度です。どんな取引でもクーリングオフができるとすれば、販売会社に不利益が大きく、取引の安全が害されてしまいます。そのため法律で定められている取引に関してのみ、クーリングオフをすることが可能です。
たとえば、特定商取引法では、訪問販売(キャッチセールスなどを含みます)や電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商法)などにおいてクーリングオフを認めています。また、宅地建物の取引や投資訪問契約、生命保険契約、損害保険契約などの取引も対象とされています。
クーリングオフ期間は、「訪問販売であれば、契約書面を受け取った日から8日間」「マルチ商法であれば、契約書面を受け取った日から20日間」などとそれぞれの取引形態によって異なった期間が設けられています。
(3)クーリングオフのやり方と効力
クーリングオフの方法としては、消費者が販売会社に対し「書面」に「必要事項を記載」して通知するのがよいでしょう。
クーリングオフの効力は、書面を発送したときに発生します。つまり、クーリングオフ期間内に書面を発送すればよく、発送さえ期間内にされていれば、期間経過後に販売会社に到着したとしても有効にクーリングオフすることができます。
クーリングオフがなされると、消費者が販売会社に対して支払った代金は、すべて返還されます。また、消費者が商品をすでに受け取っている場合、商品の引き取りにかかる返品費用は、販売会社の負担となります。
2. 書面の書き方と送付手段
では具体的には、どのような書面をどのような方法で販売会社に送付すればよいのでしょうか。
(1)クーリングオフ通知書面の書き方
クーリングオフを通知する書面は、はがきや手紙といった書式でも構わないとされています。
書面に記載すべき事項は、「契約年月日」「商品名」「契約金額」「販売会社」「契約を解除する旨」「(代金を支払った場合には)返金を求める旨」「(商品を受け取っている場合には)商品の引き取りを求める旨」「書面を作成した年月日」「消費者の住所」「消費者の氏名」等です。
あて先は、販売会社の代表者にしましょう。書き方の見本は、消費生活センターのホームページなどにも掲載されているので、参考にしながら記載するとよいでしょう。
なお、クレジット契約の場合には、販売会社だけでなく、クレジット会社にも同時に書面を送付すべきです。また、記載した内容について販売会社と主張が食い違ったときに対応できるよう、書面のコピー(表面と裏面の両方)をとっておくようにしましょう。
(2)送付手段
せっかく必要事項を記載して送付したとしても、郵便事故で相手に届かなかったり、届いていても相手から「届いていない」などと主張されたりするリスクがあります。そこで、郵便局の簡易書留郵便や内容証明郵便を使って送付する方法が確実です。
簡易書留郵便は、郵便物を引き受けたときから配達するまでの記録が残される郵便です。消費者と販売会社で主張が食い違ったり、裁判などで争いになったりした場合に、郵便物を発送した事実と相手に配達した事実を証明できます。
内容証明郵便は、誰がいつどのような内容の郵便を誰に送ったのかを郵便局が証明してくれる郵便です。郵便物を送付した事実や配達した事実のほかに、内容の証明もすることができます。
なお、特定記録郵便で出す方法もありますが、郵便物の差し出しの記録を残しておくことはできるものの、相手に配達した事実までも証明するものではなく、内容の証明もすることができません。したがって、簡易書留郵便や内容証明郵便を利用した方が確実といえるでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月16日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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