行政事件の裁判はどうやるの? 期間や手続きは?
  • 2021年06月25日
  • 行政事件

行政事件の裁判はどうやるの? 期間や手続きは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

個人間の紛争を解決する民事事件の裁判であればある程度イメージすることができるという方でも、行政機関の行政処分を争う行政事件の裁判について具体的にイメージできる方は少ないでしょう。

今回は、行政事件の裁判の概要や具体例について見ていきます。

1. 行政事件の裁判は行政事件訴訟法で定められている

行政事件の裁判については、行政事件訴訟法によって具体的に定められています。以下では、行政事件に関する基本的な事項について説明します。

(1)行政事件とは

行政事件とは、裁判によって違法な行政作用を是正し、違法な行政作用によって権利利益を侵害された国民の救済を図ることをいいます。
行政事件訴訟法は、行政事件に関する訴訟手続きを規定した法律ですが、行政事件を具体的に定義する規定はなく、以下の4つの訴訟類型に該当するものを行政事件訴訟であると形式的に定義しています。

  1. 抗告訴訟
  2. 当事者訴訟
  3. 民衆訴訟
  4. 機関訴訟

(2)行政処分に不服がある場合の争い方

行政庁による行政処分に不服がある場合には、行政不服審査法に基づく行政不服審査制度を利用して行政過程で紛争解決を図ることができます。それに加えて、行政処分に不服がある場合や審査請求の結果に不服がある場合には、行政訴訟という司法過程によって紛争解決を図ることも可能です。

行政不服審査制度と行政訴訟のどちらを利用するかについては、自由選択主義がとられており、審査請求をすることができる場合であってもいきなり行政訴訟を提起することができるとされています(行政事件訴訟法8条)。

ただし、個別の法律によって審査請求による裁決を経た後でなければ訴えを提起することができないとされている場合には、まずは審査請求を提起し、その後訴えを提起することになります。

このような審査請求前置主義をとっているものとしては、国税に関する法律に基づく処分(国税通則法115条)、労災保険給付に関する決定(労働者災害補償保険法40条)、職員に対する懲戒その他の不利益処分(地方公務員法51条の2)などがあります。

そのため、行政処分を争おうと考えているときには、処分の根拠法を確認し、審査請求前置主義がとられているかを確認することが必要になります。

2. 行政事件の具体例

日常生活のさまざまな場面で行政機関による処分が行われており、それに対して不服があれば行政事件に発展します。そのような行政事件の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

(1)運転免許と行政事件

交通違反や事故などを起こしてしまった場合には、違反内容や事故の態様によって罰金などの刑事処分の他に、運転免許の停止や取り消しに関する行政処分を受けることがあります。

運転免許の停止や取り消しに関する処分に不服がある場合には、審査請求や裁判所に対する処分の取り消しの訴えを提起することができます。処分の取り消しの訴えを提起する際には、出訴期間という期間制限があり、処分または裁決があったことを知った日から6か月以内に裁判所に訴えを提起しなければなりません。

(2)アスベストと行政事件

行政事件訴訟法は、違法または不当な行政処分がなされた場合に、その処分の取り消しを求めることによって権利の救済を図る制度ですが、違法または不当な行政活動によって損害を被ったときには、国または地方公共団体に対して損害賠償を求めることができます。これを「国家賠償制度」といい、これも行政事件の一種です。

たとえば、アスベストによる健康被害を被った方は、国に対して国家賠償請求を行うことで症状に応じた賠償金を請求することができます。現在は、一定の要件を満たすアスベスト被害者に対しては、裁判上の和解という手続きによって、賠償金の支払いを受けることができるようになっています。

(3)税金と行政事件

事業者の方などは、毎年確定申告を行い、所得税を納めていることと思います。所得税については、申告納税方式がとられていますので、納税すべき税額は、納税者の申告によって確定します。しかし、税務調査によって申告内容が間違っていたような場合には、税務署長による更正処分が行われて、納税額が確定します。

更正処分や賦課決定といった課税処分も行政処分の一種ですので、違法な課税処分によって権利を侵害された納税者は、審査請求や取消訴訟によって権利救済を図ることができます。なお、国税に関する処分や地方税に関する処分については、審査請求前置主義が採用されていますので、審査請求を経た後でなければ訴えを提起することはできません(国税通則法115条)。

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