過失割合で加害者にゴネ得されそうな場合に知っておくべき対処法

過失割合で加害者にゴネ得されそうな場合に知っておくべき対処法

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

〜本コラムでわかること〜

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交通事故の相手方は、損害賠償の額を低く抑えるために、実際とは異なる過失割合を主張して「ゴネ得」をしようとするケースがあります。

被害者としては、加害者側のゴネ得を許すべきではありません。弁護士のサポートを受けながら、正しい過失割合に基づく損害賠償を請求しましょう。

本記事では、過失割合について加害者側のゴネ得を許さないための対処法を解説します。

1. 過失割合の「ゴネ得」とは?

過失割合の「ゴネ得」とは、交通事故の加害者側が実際とは異なる過失割合を主張して、得をしようとすることをいいます。

過失割合は、交通事故の当事者間における責任の割合を表すものです。

たとえば、本来であれば加害者が100%悪いのに、被害者にも20%の過失割合があることを相手方が主張してきた場合は「ゴネ得」をしようとしていることになります。

加害者側は、自分の過失割合が少なくなれば、支払うべき損害賠償の額が少なくなります。任意保険によって損害賠償がカバーされる場合でも、保険の等級が下がりにくくなるメリットがあります。

このようなメリットを狙って、被害者が折れて妥協するまで、加害者側が実際とは異なる過失割合を主張するケースは少なくありません。

2. 過失割合について妥協すべきでない理由

交通事故の過失割合は、損害賠償の金額に大きな影響を及ぼします。

たとえば、被害者が1000万円相当の損害を受けたとします。

加害者が100%悪いなら、被害者は加害者側に対して1000万円の損害賠償を請求可能です。これに対して、被害者にも20%の過失割合が認められることになった場合は、800万円しか損害賠償を請求できません。

このように、過失割合について妥協してしまうと、被害者として受けられる損害賠償の額が大きく減ってしまいます。

また、過失割合について妥協すると、自分が加入している任意保険の等級にも影響が生じることがあります。

被害者が無過失であれば任意保険の等級が下がることはありませんが、少しでも過失割合が認められると保険の等級が下がり、将来の保険料が高くなってしまうおそれがあるので注意が必要です。

過失割合は、交通事故の客観的な状況によって定まります。

加害者側から不適切な過失割合を提示された場合には、弁護士に相談して事故状況を分析し、正しい過失割合への修正を求めましょう。

3. 過失割合についてゴネられたときの対処法

加害者側が実際の状況とは異なる過失割合を主張してきたら、以下の方法によって対処しましょう。

(1)過失割合の根拠となる資料の提示を求める

まずは、加害者側が主張する過失割合について、その根拠となる資料の提示を求めましょう。

加害者側が提示する資料が客観性を欠くものである場合や、内容が誤っているものである場合には、そのことを指摘すれば有利に損害賠償請求を進めることができます。

(2)事故状況の客観的な証拠を提示する|ドライブレコーダーの映像など

被害者側からも、交通事故の状況に関する客観的な証拠を提示しましょう。

たとえばドライブレコーダーの映像は、交通事故当時の状況を機械的に記録したものであるため、客観的な証拠として非常に有力です。

そのほか、事故現場付近に設置された防犯カメラの映像や、事故後に撮影した動画・写真なども証拠として利用できることがあります。

また、事故の目撃者がいる場合は、その人に証言をお願いすることも考えられます。被害者側にとって有利な証拠を、できる限り多く確保しましょう。

(3)刑事記録の開示を受けて提示する|実況見分調書など

人身事故として警察官に報告した場合は、実況見分調書が作成されます。

実況見分調書には、警察官が確認した交通事故の客観的な状況が記録されるため、正しい過失割合を主張するための証拠として利用可能です。

実況見分調書は、検察庁に申請すれば閲覧・謄写ができます。

また、交通事故に関して加害者や第三者に対する取り調べが行われるケースもあります。この場合は、検察庁に供述調書が残されています。供述調書を確認すれば、事故の客観的な状況を言い表した供述が記載されているかもしれません。

損害賠償を請求する民事訴訟を提起し、訴訟手続きの中で文書送付嘱託を申し立てると、検察庁から供述調書の送付を受けられることがあります。

(4)弁護士に相談する

交通事故について正しい過失割合を主張するためには、事故の客観的な状況を適切に分析する必要があります。そのためには、交通事故案件を豊富に取り扱う弁護士のサポートが欠かせません。

加害者側が主張する過失割合に納得できない場合は、速やかに弁護士へ相談して対応方針を検討しましょう。

4. 交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼するメリット

交通事故の損害賠償請求を弁護士に相談すると、適正額の損害賠償を受けられる可能性が高まるとともに、手間や時間が省けます。

弁護士に依頼することの主なメリットは以下のとおりです。弁護士と協力しながら、スムーズかつ適正額による損害賠償の獲得を目指しましょう。

(1)適切な過失割合に基づく請求ができる

弁護士に相談すれば、ドライブレコーダーの映像や実況見分調書などの資料に基づき、交通事故の正しい過失割合を求めることができます。

弁護士がこれらの資料を証拠として提示しつつ、正しい過失割合による請求をすることにより、損害賠償の増額が期待できます。

(2)弁護士基準による請求ができる

加害者側の保険会社は、「任意保険基準」に基づく保険金額を提示してきます。任意保険基準は、保険会社が独自に定める基準に過ぎず、被害者が実際に受けた損害額には遠く及びません。

適正額の損害賠償を受けるためには、弁護士基準(裁判所基準)による請求を行う必要があります。

弁護士に依頼すれば、公正妥当な弁護士基準による請求をしてもらえます。弁護士が法的根拠に基づく請求を行うことにより、適正額の損害賠償を受けられる可能性が高まります。

(3)示談交渉や裁判手続きを一任できる

交通事故の損害賠償請求は、加害者側との示談交渉、交通事故ADR、訴訟などの手続きを通じて行います。

これらの手続きを適切に行うためには、交通事故に関する法律や実務の知識が必要不可欠です。検討すべき事項や準備すべき書類も多岐にわたるため、被害者が自力で対応することは難しいでしょう。

弁護士に依頼すれば、損害賠償請求に必要な手続きを全面的に任せることができます。手間やストレスが大幅に軽減されるとともに、弁護士の適切な対応によって正しい額の損害賠償金を得られる可能性が高まります。

交通事故について、手間なく適正額の損害賠償を請求したい場合は、早い段階から弁護士への相談をおすすめします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2025年04月11日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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