交通事故の慰謝料とは? 相場や弁護士相談のメリットを紹介

交通事故の慰謝料とは? 相場や弁護士相談のメリットを紹介

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

1. 交通事故の慰謝料とは?

交通事故の慰謝料とは、事故によって被害者が受けた精神的損害に対する賠償金です。

加害者は被害者に対して、不法行為に基づき、精神的損害の大きさに応じた額の交通事故慰謝料を支払う義務を負います(民法第709条、第710条)。

加害者が任意保険に加入している場合は、保険会社が被害者に対して慰謝料を支払います。

交通事故の慰謝料には、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。

  • ①入通院慰謝料

    交通事故でけがをしたことによる精神的損害の賠償金です。入院期間や通院期間に応じて算定します。

  • ②後遺障害慰謝料

    交通事故のけがが完治せず、後遺症が生じたことによる精神的損害の賠償金です。後遺障害等級の認定を受けたうえで、等級に応じた額を請求できます。

    参考: 「後遺障害等級表」(国土交通省)
  • ③死亡慰謝料

    交通事故の被害者が亡くなったことによる、本人および遺族の精神的損害の賠償金です。亡くなった被害者の、家庭内における立場に応じて、目安額が決まっています。

2. 交通事故の慰謝料はどれくらいもらえる?

交通事故の慰謝料は、以下の3つの基準によって算定します。

  • 自賠責保険基準

    自賠責保険から支払われる保険金額の算定基準です。金額は3つの基準の中でもっとも低くなります。

  • 任意保険基準

    加害者側の任意保険会社が独自に設けている損害賠償の算定基準です。自賠責保険基準よりもやや高い金額となりますが、客観的な損害額には及びません。

    ※任意保険基準は非公開とされています。

  • 弁護士基準(裁判所基準、裁判基準)

    過去の裁判例に基づき、客観的な損害額を算定する基準です。被害者にとってもっとも有利であり、かつ公正な基準といえます。

被害者としては、もっとも有利かつ公正である「弁護士基準」によって慰謝料を請求することが大切です。

自賠責保険基準と弁護士基準で、交通事故の慰謝料額がどのくらい違うのかを比較してみましょう。

(1)入通院慰謝料の金額相場

自賠責保険基準による入通院慰謝料の金額は、以下の式によって計算します。

  1. 入通院慰謝料(自賠責保険基準)=4300円×対象日数
  2. ※対象日数は、以下のいずれか短い方
  3. (a)実際の入通院日数×2
  4. (b)総治療期間(=治療開始日から治癒または症状固定の日まで)

弁護士基準による入通院慰謝料の額は、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)の別表Ⅰまたは別表Ⅱを用いて計算します。

別表Ⅰ(骨折などの重症時)
入院期間0月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
通院期間0月 0 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 281 308 315 322
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 306 323 328
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 250 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286
別表Ⅱ(むちうち症・打撲・捻挫などの軽症時)
入院期間0月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
通院期間0月 0 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 023 203
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

たとえば、交通事故で骨折をして1か月間(30日間)入院し、その後完治するまで6か月間にわたり計25日間通院したとします。

自賠責保険基準による入通院慰謝料は47万3000円(=4300円×55日×2)です。

これに対して、弁護士基準による入通院慰謝料は149万円(別表Ⅰ・入院1か月・通院6か月となります。

上記のケースでは、弁護士基準による入通院慰謝料は、自賠責保険基準の3倍以上となりました。

(2)後遺障害慰謝料の金額相場

後遺障害慰謝料の目安額は、認定された後遺障害等級に応じて、下表のとおりです。

後遺障害等級 自賠責保険基準 弁護士基準
1級(要介護) 1650万円 2800万円
2級(要介護) 1203万円 2370万円
1級 1150万円 2800万円
2級 998万円 2370万円
3級 861万円 1990万円
4級 737万円 1670万円
5級 618万円 1400万円
6級 512万円 1180万円
7級 419万円 1000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

※自賠責保険基準の場合、1~3級で被扶養者がいれば増額されます。

全体的に、弁護士基準による後遺障害慰謝料の額は、自賠責保険基準の2~3倍程度と高額になっています。

(3)死亡慰謝料の金額相場

自賠責保険基準による死亡慰謝料は、本人につき400万円、遺族につき下表の金額です。

請求権者の数 遺族の慰謝料額
1人 550万円
2人 650万円
3人以上 750万円

※被害者に被扶養者がいる場合は、上記金額に200万円を加算します。※被害者に被扶養者がいる場合は、上記金額に200万円を加算します。

弁護士基準による死亡慰謝料の目安額は、本人と遺族を合計して下表のとおりです。

被害者の家庭内における立場 死亡慰謝料の額(本人・遺族合計)
一家の支柱 2800万円
母親・配偶者 2500万円
その他 2000万円~2500万円

たとえば、一家の支柱である男性が交通事故で亡くなり、妻と子ども2人が残されたとします。

自賠責保険基準による死亡慰謝料の額は、合計1350万円(=400万円+750万円+200万円)です。

これに対して、弁護士基準による死亡慰謝料の目安額は2800万円です。

弁護士基準による死亡慰謝料は、自賠責保険基準の2倍以上と高額になりました。

(4)相場に比べて慰謝料が増減するケースもある

上記の金額相場は目安に過ぎず、具体的な事情によっては慰謝料が増減することもあります。

  • 【慰謝料が増額されやすいケース】

    ・加害者側の行為が非常に悪質である(危険運転、あおり運転など)

    ・加害者の態度が著しく不誠実である

    など

  • 【慰謝料が減額されやすいケース】

    ・被害者側にも過失があった

    ・被害者の既往歴が影響して、重症化につながった

    など

3. 交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

交通事故の被害に遭ってしまったら、慰謝料その他の損害賠償請求について、早い段階で弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談することには、主に以下のメリットがあります。

  • 弁護士基準によって適正額の損害賠償金を請求できる
  • 加害者側との交渉や裁判手続きへの対応を一任できる
  • 加害者側の不合理な主張に惑わされることがなくなる
  • 労力やストレスが大幅に軽減される
  • など

交通事故被害について適正な補償を受けたい方は、弁護士にご相談ください。

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